Let'S Change The World With Music

レッツ・チェンジ・ザ・ワールド・ウィズ・ミュージック

レッツ・チェンジ・ザ・ワールド・ウィズ・ミュージック

Prefab Sproutの新アルバム『Let's Change The World With Music』、素晴らしい作品です。
打ち込みのドラムにシンセベースやストリングス、時々生ピアノという完全バンドサウンドではないんですが、どっかでトーマス・ドルビー(いつもプロデュースしてる人)のインタビューを読んで納得、当初バンドで再現しようとしてたらしいのですが、レーベル側の予算と時間の関係でデモに近い音になったみたいなんですね。
ただペナペナのデモに近いからって何らこの作品を魅力を減ずることはないです。もちろん、プリファブ印ともいうべきゴージャスなアレンジがあれば嬉しいのは間違いないのですが、Jordan直後に企画していたアルバムの再現ってことなので、おそらく1〜2曲目は当時のパディの声なんじゃないでしょうか。
曲名だけを見ると「God Watch Over You」「Earth:The Story So Far」「Music Is A Pricess」「Last Of The Great Romantics」「Meet The New Mozart」「Angel Of Love」とか、壮大っていうかどうした?と思うようなのが並んでて、なんだか日本でこんなタイトルの曲名ばかりだったら、2chから朝日新聞系メディアあたりまで総スカンをくらいそうですが(まあマヘルは大分近いですが)、この楽曲たち聴くと(歌詞を見ると)安易に宗教に走ったっていうものじゃないみたいです。
イギリス人で教会音楽の要素が入ったロックというと僕なんかはスピリチュアライズドを思い浮かべるんですが、最近SnoozerかなんかでGirlsというバンドのインタビューを読んでスピリチュアライズドのファンと書いてあったのですが、(音は完全DIYカリフォルニアンフォークでした。スリルズを思い出した)、彼らはああいう(ゴスペルちっくな)音だけど宗教を信じてるんじゃないと書いてあったのですが、パディの場合は音楽を宗教のように思っているんじゃないかな。今回のアルバムタイトルが正にそうですし。音楽で世界を変えることができると信じてる。だから音楽のために祈るし、音楽で赦されるべきだと。あるときからU2がどんどんとそんな風を強めたと思うのですが、そこにはある程度の戦略とポーズがあるように感じられけど姿勢としては同じ方向を向いている(いた)んじゃないかと思います。そうすると彼はこの世に使わされた司教みたいですね、音楽の。実際、そうとしか思えないような美しいメロディの曲をたくさん作っている。とにかく長く聴いていけるアルバムだと思います。それにしても聴覚と視覚に障害を持ちながらも素晴らしいアルバム(しかもプリファブ名義で)を作ったパディ・マクアルーンには感謝したいです。


ちなみに僕はやっぱりJordanが好きです(最近紙ジャケで再発)。

ヨルダン・ザ・カムバック(紙ジャケット仕様)

ヨルダン・ザ・カムバック(紙ジャケット仕様)