密林の音楽

土曜日(5日)はうだる様な暑さのなかエグベルト・ジスモンチ ソロコンサート@第一生命ホールへ行ってきました。しかし、勝どきは遠いね。ホールも駅から遠いね。凄くキレイな場所だったけど。
コンサートの構成自体は去年と一緒でギターソロ1時間、ピアノソロ1時間の2部構成でした。


始めは10弦・12弦の多弦ギターを使用したソロ。
ギターという楽器で想定されている奏法を最大限拡張するような演奏、例えばハーモニクス、ミュート、ボディパーカッション、タッピングなどなど・・・。それらが右手・左手別々なフレーズ・奏法で同時にさらに多元的に展開していくので、一人で弾いているとはまさか思えない、音楽の密林とでも形容すべき、重層的な音空間が目の前に立ち現れてくるのでした。
目まぐるしくテンポやフレーズを変化させながらも所謂手ぐせというか・使いまわしのフレーズが殆ど聴かれなかったのは驚異的だと思いました。元々全て作曲されているものなのか、もしくは即興の度合いがどれ位あるかというのは推して計るしかありませんが、目まぐるしくリズムやフレーズを変化させながらも常に意表を付く驚くべき演奏を持続させていくということは何たる集中力なんだろうか。しかも美しい音楽でありながらも眠くならないというのはデレク・ベイリーとは違うところだ 笑。


第2部はシャツを着替えてのピアノソロ。
こちらもギター同様、右手と左手が別々の生き物の如く異なったフレーズをたたき出して行き、重層的ながらも絶妙な軽やかさを感じられる演奏。頻繁に行われる転調がその軽やかさの元かな。ギターより終始ボリューム大き目で弾ききってました。
門外漢の僕が書くのもおこがましいけど、どちらかというとクラシックに近い?けどクラシックのピアニストと何か違う、けどもジャズとも言えない、ましてやブラジル音楽、と大雑把に括ることなんてできそうにもない、なんとも形容しがたい素晴らしいピアノ演奏でした。
殆どお客さんの熱烈な拍手の中2回もアンコールに応えて笑顔で去って行きました。何とも(思想の伴なった)楽器演奏の極致を見せられた気分です。満足満足。


しかし、隣りのおじさんがずっと寝てたのだけは非常に不満。どっかからの招待かな?来なきゃいいのにな。