金沢にて

カート・ローゼンウィンケル@横浜から帰ってきて翌05:00起きで東京発金沢行きに乗車。上越新幹線ほくほく線という何とも親近感のあるルートで金沢駅まで。湯沢〜六日町あたりの雪景色から犀潟とか直江津の海を見ながら5時間くらい。眠かったけど寝なかった。サッカー選手と付き合うんだったら誰がいいかとかバカ話しながら(ちなみに僕は顔のみでヒッポ・インザーギ。友達は「性格が良さそう」という理由でエトーを選択。何でや)多分3度目の金沢なんだけど駅前なんて全く記憶に無い。子供の頃来た際は車だったし多分市街地を回らなかったんだろうな。
観光客向け市場で思い思いの魚料理を食べたあと(ヴォリューミーで、やはり旨かった)通りがけの神社を経由して待望のオラファー・エリアソン展@金沢21世紀美術館へ。ところでこの21世紀美術館、なんとなく巨大で威圧感のある建物を予想していたんだけど実際見てみると良い意味で裏切られた。予想以上にコンパクト且つ屋根に張り出した立方体や三角形が軽やかで冬の金沢の空に溶け込んで美しかった。さらに驚くべきは内部構造で円の中にいくつもの展示室やカフェ・ライブラリと言った個別の機能を持った部屋が微妙にグリッドを拒否するような複雑な導線で関係付けられている様は解説でも言及があるように都市さながら。


今回のオラファー・エリアソン「あなたが出会うとき」展はこの、各部屋が関係しあう構造を活かし画一的な順路を設置するのではなく各展示作品がネットワーク的に関係し合うよう配置されているという非常に凝った展示がなされていた。例えば主導線に細かく変色するカラーパネルが貼りめぐらせてあり移動とともに変化する様を追うことができたり光が差し込む中庭に面する壁には万華鏡のような仕掛けがなされ外を覗き込む=作品に触れるだったりはたまた通路自体に作品が展示されており作品間の間を移動がすなわち鑑賞の行為となったりするような・・。
展示作品もコンセプトが非常に明確で例えば後ろから光の3原色が全面の壁に投射されその壁の前に鑑賞者が立つと分身したように影がそれぞれの色で生み出される「ゆっくり動く色ある影」やオレンジの強い光に照らされることによって室内の例えば自分や他人がモノクロームになる「1色の部屋」のように作品と鑑賞者の関係が、鑑賞するものされるものではなく、殆どが影響する/されるという関係になっており鑑賞者(この場合では僕)がオレンジの光に照らされた白黒の僕や光の3原色(もっとあったかも)に分身した影を見ることによって自分も動く、そして作品も変化するといった、あるときは光とあるときは影やはたまた動いている自分とコミュニケーションを取っていることに気付かせるようなそんな空間=作品だったように思う。作品数としたらおそらく20点未満だろうけどかなり満足のいく展示だった。壁や自分に水の揺らめきの如くプリズムが投影される美しいドローンミュージックみたいな「水で彩るあなたの水平線」にも長い時間見とれてた。空を切り取って作品にしたような「タレルの部屋」(これも天候や季節とのコミュニケーション!)も静謐で非常に良かった。21世紀美術館素晴らしい!
ちなみにもう会期終わりだってのに今回のオラファー・エリアソン展のガイドブックは未完成で予約を受け付けているという状態だった。何たる手落ち具合。中身を見ないことにはなので発売直後にABCあたりで見てみたい。

歩きやバスで廻った金沢は京都に似た雰囲気があり何と言うか品、みたいなものを感じた。新竪町という大阪で言う堀江みたいな界隈ではUNDERCOVERVISVIMをはじめハイブランドの店も多いし小さなギャラリーもそこかしこに散見。金沢独自のカルチャーが根付いていそうな雰囲気。そして道すがら東京都根津にあったオヨヨ書店を発見し、運命的なものに一同悶える。凄い偶然だ。そして翌日あうん堂という古本屋にて同じく根津のはてなという書店と繋がっていることを聞かされる・・・。この世界は広いようで狭い。ちなみに折角の金沢にも関わらず古本屋に長居し、さらにはちゃっかりお土産をゲットしたことは言うまでもない。
初日の夜は友人夫妻(夫妻ではないけど便宜上)が予約してくれていた宝生寿司という地元の名店にて魚介尽くし。該当の写真を見るだけで旨そう。





ノド黒にもう一度出会いたい。。


翌日は兼六園のアンビエンスに感動したりシール九谷の関係店「福光屋」でお土産を買ったり、お茶屋街でノスタルジーを感じたり、前述のあうん堂で世の中狭い話を聞いたりとまったりとした観光モード。東京と違いまったりを許容してくれる町だね金沢は。アートでキョートな古本の街とインプットされました。いつかまた来たいな。充実の休日。