言葉にのって
デリダ「言葉にのって」読了。
- 作者: ジャックデリダ,Jacques Derrida,林好雄,本間邦雄,森本和夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2001/01/01
- メディア: 文庫
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自らの生い立ちから脱構築・エリクチュール・歓待・アポリア・差異と反復。それからハイデガー、マルクス、サルトル、レヴィナスからの影響や離反などなど・・聞き慣れた言葉が分かり易い言葉で語られていて、デリダ入門にはもってこい。ま、僕にはむつかしいところも多々ありますが。特に赦しの話題。あまりに思想が逆説的で全体を把握できなかった。
しかし、中でも二律背反・アポリアの話は非常に興味深くもっと深く知りたい(考えたい)と思う。
アポリアとは「行き詰まり・出口なし・極限状態・論理的難題・それでいて迫り来るもの」とのこと。
「私は二律背反、矛盾の中にあって、たえず、2つのもののあいだで折衝するための最大限の自由をもっていたいのです」
アポリアの中の自由の可能性。それはハイデガーが《不可能の中の可能性》と呼んでいる死の思想と深い関連が見出せる。ような気がする。脚注中のブランショの言葉を引用すると分かりやすいように思われます。
「死と思考はあまりにも近接したものなので、たとえ死ぬときに私たちは考えることを免れるとしても、考えるとき、私たちは死ぬのである。すなわち、あらゆる思考は死の相を帯びており、あらゆる思考は最後の思考なのだ」
常に最後の思考のなかで、書き、《すべてを言う》こと。うーん非常に興味深い。、、が、頭がこんがらがってきたよ。。
それにしても、またしてもここでも問題は死。と思索すること自体。
ベケットを思い出す。まさしく差異と反復のロールモデルのような文体からはじまり、書くことそれ自体が問題になり、語りつくせぬもの・語りえぬものを語ろうとする努力ゆえに、沈黙(死)へと近づいていくといったパラドックス。
そうだ。「死せる想像力よ、想像せよ」!