第3巻、読了
本日『神聖喜劇』第3巻読了。今回もタフな読書だった。正直読みこなすには、まだまだ勉強が足りないな(苦笑)。
1冊の本にしてはあまりに啓発的なのだけど、今回もまた然りだった。特にトマス・マン作品の芸術家に関する描写は素晴らしくその真理を突いているのではないか、と僕には思われたのです。例えばこんな具合。
「そこから人がいささか大胆に結論するならば、詩人になるためには何か監獄の類に通暁している必要がある、ということになりましょう。」
(中略)
「いや、恒久的な対照物として精神と芸術とに対応するごとき『人生』、---それは、残虐な偉大や凶暴な美の影像としてではなしに、すなわち異常な何者かとしてではなしに、われわれ異常者(芸術家)の眼中に顕現しているのです。つまり、尋常な物・方正な物ならびに可憐な物こそが、われわれ(芸術家)の憧憬の世界なのであり、魅惑的な凡常性における人生なのです。老獪な物・奇矯な物ならびに悪魔的な物にとことんまで心底から熱中する人、真率な物・素朴な物ならびに溌剌たる物にたいする憧憬を知らぬ人、そしてまた多少の友愛・献身・親密および人間的幸福にたいする憧憬を知らぬ人、約言すれば、習俗的であることの悦楽にたいする内密にして激烈な憧憬を知らぬ人、---そんな人は、まだなかなか芸術家であることはできません。」
真正の芸術家とは、所謂「普通であること」に憧れながらも先天的にそう出来ない人々、ということでしょうか。運命的アウトサイダー。僕はとてもそんな風ではありませんが、この様な芸術家の作るものにはきちんと反応できるようでありたいと思うのです。そして話は明石海人の壮絶な詩と人生に移って行きます。トマス・マンから芸術家たち(ここでの例は明石の他に江馬細香、石川啄木、夏目漱石)への主人公の共感への共感。今回この部分を特に興味深く読みました。
そしてさっき読み終わった『マイルス・デイビス自叙伝』。こちらも上記と共通点を感じずにはいられませんでした。最後はマイルスに説教されてる様な気になったが、何だか感動的でもあった。ウィ・ウォント・マイルス!
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